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翌日ルジートはレンバー男爵以下、子爵とその息子達を更迭した。
担当職は全て前任者に戻し、現在治めている地方についてはそのまま爵位を継ぐことになる者が管理するようルジートは任命した。
そのかわり彼ら以上の仕事を要求したのである。
意外にもあのボンクラどもには無駄がなかった、というのが帳簿でも見て取れたのである。
しかしその浮いた金の行く先の記載がない。
自分達の懐に入れていたのが残念だった。
いや、懐に入れるからこそ無駄を省いた施政だったのかもしれないが。
以降、アレキサンドリア公がしていたとおり、全ての税金は領主代行のルジートの下に集め、彼女が打つ施策に合わせてばらまくこととなった。
道路の整備不足、公共施設での貧困者への施しなどの福祉の縮小、物資・物量不足もまたアレキサンドリア衰退の原因ということもあり、 ルジートはまず農業支援と公共施設、商人の育成・誘致に力を入れることにした。
そしてルジートにはもう一つ野望があった。
一度に大量の物資の移動ができれば、各領との取引も増えるのでは考えていたのである。
現状、他領から馬車で運んで来るにも限界がある。地産地消とはいえ、気候的に採れないものがあまりに多いのだ。 また季節によってアレキサンドリアへの輸送代は大きく変動する。冬場ともなると、馬の飼料が高騰する為、輸送代は夏場の倍になった。
そのため冬場はどうしても仕入れが縮小し、物価が高騰してしまう。
安定した取引こそが、経済を発展させる肝なのだ。
このアレキサンドリア領の主な産業といえる石炭を使っての大型の移動・移送手段があれば、経済の流れは一気に変わるはずだ。 そしてアレキサンドリアにとっては追い風となることは間違いない。
あの桜子というからくり師に相談してみるのはどうだろう。
からくり師であれば新しい発想を持って何か作ることが可能なのではないかと思っていた。
そして出来れば来年の秋までに完成に持って行きたかった。
それはもちろん天花姫とアーサーの挙式の前に、である。
2人の挙式には最低でも後1年はかかるであろうとルジートは踏んでいた。
あの膨大な荷物の量だ。人足を使うにしても、かき集めるのにも時間がかかるだろうし、嫁入り道具の作成も入るだろう。 全て特注となれば、もしかすると2年かかるかもしれない。
アーサーの城も、和装に対応したつくりではないから、天花姫に合わせての改装もせねばなるまい。
そのころまでに間に合えばいい。だが、輸送手段だけではどうにもならないことがある。 天花姫が挙式を節約しないでアレキサンドリアを通るとなると、この領にはそれだけの大