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昼食は戦場だった。
良く考えてみれば、全員明け方から昼まで何も食べていなかったのだ。
ソフィーはアイーダから2人が戻ってきたことを告げられると、保存用に下準備したものをそのまま流用し昼食を作ることにした。 とりあえずステーキと付け合わせの温野菜、チキンのスープ、ジャム用に用意した果物を出すことにした。 燻製にしようと茹でた卵でサンドイッチと、肉入りオムレツも追加する。
それがあっという間に消えていくのだ。
ルジートは予想していたのか、自分の分と森咲の分を纏めさっさと除けておく。
森咲を横に座らせると、此処から取るように勧めた。
森咲は昨晩のセシリスとヘレナの食事は遠慮していたことがよくわかった。
「見ているだけでお腹がいっぱいになりそうです。」
生温かい目で眺める森咲にルジートはしっかり食べるように伝えた。
「体力付けてもらわないと。此処の仕事はきついわよ?私は遠慮なく仕事はどんどん振るから。」
にっこりと微笑むと、ルジートはサンドイッチを頬張った。
「お従兄ちゃん。温野菜をこっちに廻してよ。」
「そっちの肉を寄こせ。」
「オムレツの残りは浚っていいか。」
「果物は~、好物なの~。」
席の向こう側は口を開くと会話ではなく、お互い自分の食べたいものの要求ばかりという殺伐とした状況だった。
ルジートはアイーダを呼ぶと、食事を終えた森咲を自室に連れていくよう伝えた。
それを見ていたヘレナが、思い出したようにルジートに声をかける。
「モリーは煙草が好物なの。ルー、煙草はある?」
アイーダが主の代わりに返事をした。
「お客様用がございますので、そちらで本日はご辛抱頂きましょう。お好きな銘柄がありましたら明日にもご用意いたしますよ。」
「すみません。煙管はありますので、草か紙巻きがあれば助かります。」
これだけは常に内ポケットに仕舞っていた為、持ちだすことが出来たのだ。
「とりあえず、夕食までゆっくりしてね。明日から本格的に動いてもらうから、今日は寝溜めをお勧めするわ。」
ルジートはひらひらと手を振った。
立ち上がった森咲は苦笑すると、アイーダに部屋は禁煙かどうかをまず確認をした。
アイーダは微笑むと
「今後は森咲様のお部屋ですから、お好きなようにお使いください。」
と喫煙の許可を出した。掃除をするものはいつでもどこでも強いのである。
森咲は安心したのか、大きく息をすると満足そうに礼をして退出した。